叙述トリックをわかりやすく説明してみる&僕が読んだ叙述トリック作品まとめ
2021/04/23
先日、「へんなねえさん」という漫画を読みました。
叙述トリックな話もあったりして、とても面白かったです。
ていうか、エロい漫画で叙述トリックて!
これです。
というわけで、
「叙述トリックって何よ?」
「どんな作品があるの?」
ってのをまとめました。
とりあえず、叙述トリックとは?というところの説明と、その後はネタバレ的な記事になります。
序盤は安心して読み進めてもらっていいですが、後半はご注意ください。
叙述トリックって何?
まずは「叙述トリックって何?」という部分につきまして。
叙述トリックの定義
叙述トリックとは、
暗黙の前提や、偏見を利用したトリック。
(Wikipediaより)
または
登場人物にとっては自明の事実を読者に対して隠蔽するのが叙述トリックである。
(ニコニコ大百科より)
と、されています。
つまり、
「登場人物は普通に知っているし、普通のことなんだけど、読み手には意図的に隠す事で錯覚させるトリック」
のことです。
叙述トリックの例
例えば、
佐藤と鈴木はオレの幼稚園の頃からの大親友。
学校から帰ったら毎日のように野球やサッカーをして遊んだものだ。
だから、鈴木が佐藤の子を身ごもったなんて話を聞いた日には驚いたよ。
こんな話があったとします。
2行目の「オレの大親友」「野球やサッカーをして」の部分から「佐藤と鈴木は男の子」と思いがちですが、3行目で「あ、鈴木って女の子だったんだ」とわかりますよね。
うん、我ながら雑w
この物語の中では「オレ」も「佐藤」も「鈴木」も自分たちの状況を知っています。
ですが、これを読んでいる人からしたら、3行目までは不確定なので想像で話を進めるしかできません。
そんな不安定な情報を利用して、2行目で「みんな男の子やで~(男の子とは言ってない)」というトリックを仕掛けているということ。
これが叙述トリックです。
ミスリードとの微妙な関係
ミスリードというのは、作者が読者または登場人物に、「意図的に間違った方向へ推理させるトリック」のことです。
なので、叙述トリックはいわゆる「ミスリード」の一つということになります。
・・・ですが、
視点人物自身も騙されていた場合は叙述トリックにはあたらない。
(ニコニコ大百科より)
と、あるように、その物語の登場人物でさえ騙されていたような場合は叙述トリックとは言えないんですね。
さっきの例で言えば、
佐藤と鈴木はオレの幼稚園の頃からの大親友。
学校から帰ったら毎日のように野球やサッカーをして遊んだものだ。
だから、鈴木が佐藤の子を身ごもったなんて話を聞いた日には驚いたよ。
まさか鈴木が女の子だったなんて・・・。
4行目にこう続いていたら、叙述トリックではないわけです。
だって作中の「オレ」ですら学生時代には鈴木のことを男の子だと思っていたというわけですから。
そうではなくて、
佐藤と鈴木はオレの幼稚園の頃からの大親友。
学校から帰ったら毎日のように野球やサッカーをして遊んだものだ。
だから、鈴木が佐藤の子を身ごもったなんて話を聞いた日には驚いたよ。
いつのまにそんな関係になってたんだか・・・幸せにな!
こんな感じだったら、登場人物は3人とも何のことはない生活をしているのに読んでいる人だけが騙されている感じじゃないですか。
「おいおいおい、鈴木は女の子だったんかーい!!」
とツッコミいれても、登場人物たちには
「え?なにが???」
ってマジレスされる。
そんな感じのが、叙述トリックなわけです。
というわけなので、そのトリックの性質上
「この小説は叙述トリックがすごい」
なんて言われたら、注意して読めばわかっちゃうらしいです。
そう考えたら、その作品名をいう事すらネタバレになってしまうという・・・。
(冒頭のへんなねえさんについてはすまんかった)
ここから先は、その作品名を上げて、その中で多少のネタバレをしてしまいますので、未読の方は注意して読み進めてください。
叙述トリックのある作品
※以下、作品名のネタバレになります。
とはいえ、僕もあんまり多くの作品を読んだわけではありません。
なので、知っている範囲で書いていきますね。
館シリーズ
これはかなりの有名どころ。
綾辻行人先生の「館シリーズ」です。
館シリーズはその全てに叙述トリックが使われているわけですが、僕はそれと知りながらも毎作楽しめました。
なので、叙述トリック入門にかなりオススメ。
特にシリーズ最初の作品である「十角館の殺人」は
「一行でひっくり返った」
とレビューされている方がおり、読了後にはその意味がすごくよくわかります。
↑コミックス版も出てます!
ちなみに綾辻先生の奥さんは、あの「屍鬼」で有名な小野不由美先生。
ご夫婦で魅力的な作品を書かれているなんて羨ましいです。・・・どんな家なんだろうw
筒井康隆の某作品
僕が初めて出会った叙述トリック作品は筒井康隆先生の「ロートレック荘事件」でした。
「えっ、筒井康隆ってミステリーも書いてたの!?」
って思いますよね~・・・。すごい。
当時叙述トリックに触れたばかりの僕は、あまりにも面白かったので弟に「すごく面白いトリックだから読んでみて」と勧めたところ・・・物語を数ページ読んだところでそのトリックを言い当てられてしまいました。
弟よ、もっと素直な気持ちで読んでくれ・・・。
でも、この作品は叙述トリックと実際の事件のトリックがなんとも上手に絡んでいたような気がするので、そこが明かされたぐらいで面白くなくなるような作品ではないと思っています。
※とはいえ、あまりに昔に読んだままなので・・・ぼんやりとしか覚えてません・・・。もう一度読みたい。
余談ですが、この作品を読んでからロートレックという画家にハマり、ロートレック展に行ったり画集を買うようになりました。
筒井先生・・・罪なお方や・・・。
へんなねえさん
小説での叙述トリックは色々とありますが、漫画でここまでズバッと叙述してくれたのは初めてみました。
叙述トリックって活字から創造される賜物だと思っていた僕にはかなり衝撃的でしたね~。
・・・といっても小ネタですけど。
ちなみにこの漫画本は短編集という位置づけなんですが、最後の一話で短編集ではなくなるという仕掛けもあるなどいろいろ読者を裏切ってくれるのでオススメ。
名探偵コナン
少年サンデーでもう20年以上も連載されている名探偵コナン。
個々の話は「王道の推理物」といった感じなんですが、この作中にも叙述トリックが使われている部分がありました。
単行本の42巻らへんだったかな・・・その前から続いていたベルモット編の終盤です。
・・・と言っても、登場人物もうまく騙されていたような気がするので、狭義には叙述トリックではないのかも??
あとは作中の賢い人たちが「そんなん知ってたわぁ~」みたいな感じに振舞っているせいで、読者も「これ、驚いちゃいけないのかな・・・」って思っちゃったりw
ちなみにそのシーンを単発で読んでもイミフだと思うので、ジョディ先生が出てきたらへんから読む必要あり、です。
・・・もしかしたら”黒幕”である「あの方」に関しても大がかりな叙述トリックがあるかもしれないですね。
だとしたらアガサ博士黒幕説もまだまだありうるぞー!!!
第六感的な映画
叙述トリックとして有名すぎる映画に「シックスセンス」が挙げられます。
ただ僕の記憶が確かなら、主人公は最後の最後まで視聴者と同じ目線なわけですから・・・叙述トリックかどうかは微妙なラインかもしれません。
ちなみに僕は「叙述トリック」と言われて観たわけではないものの、母親から完全にネタバレされてから観たクチです。
なので、初めて観た時から二度目状態を味わいました。クッソクッソ!!
時間が戻せるならネタバレされる前に戻って観なおしたいです。
おわりに
というわけで、叙述トリックについてのまとめでした。
叙述トリック作品は、読み終わったあとで「うおぉー!記憶を抹消してもう一度最初から読みてー!」ってなるのがめちゃくちゃ気持ちいいんですよ。
詐欺で騙されるのは嫌だけど、叙述トリックに騙されるのは嬉しいんですよね。
一種のサプライズなのかな。
ほんと、あの快感はやめられませんw
・・・記憶を消したいなんて言いながらも、ここに書こうと思ったら他にどんな作品を読んでいたか思い出せなかったんですけどね・・・。
思い出せないのなら、気づかずに読んでもう一度騙されないかなぁ。
最後に、自分用の備忘録としてまだ読んでないものを載せておきます。
いつ読めるかなぁ・・・楽しみ。
追記
漫画の叙述トリック、こんなのもありました。
2021/04/23
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