フォーンアイル騒動「ひとりで全部作ったのはすごい」が間違っている理由
2023/03/09
フォーンアイルと言う同人のゲームがプチバズしてますね。
ことの発端は製作者の@11planning氏が「ドラクエに特別なセンスを感じたことはない」と発したツイでしょうか。
【悲報】ファミコンの容量制限の中で産まれた名作ドラゴンクエストを「俺ならもっとうまくやれた」とコケにし、自作RPGを「62万行コードを書いた!」とドヤ顔する開発者が爆誕してしまう pic.twitter.com/hHK1gKMjiV
— ゆっくりドットコム (@yukkuridotcom) February 24, 2023
現在はもうツイートを消されてしまっているようですが、みんな衝撃的だったのか結構スクショが残っちゃってますね。
で、「俺のほうがスキルは上」「俺ならもう少しやれる」と豪語するフォーンアイルなるゲームがどんなもんかと。
ゲームファンは気になっちゃって気になっちゃって・・・。
実物プレイしてみたら「ズコーーーッ!!」みたいな感じだった、というわけですな。
特別なセンスとはいったい・・・。
ただまぁ、僕はゲームを購入したわけでもプレイしたわけでもないので、その内容についてあれこれ言うのは違うと思ってます。
明らかにDQやFFに影響受けたでしょっていうUIだとか、その世界観にF1レースのミニゲーム入れる?とか、みなさんと同じようなことは感じていますがw
それよりも僕が気になったのは、フォーンアイル擁護勢による「一人でこれを作りあげたのはすごい」というような評価です。
もちろんこれがどれだけすごいことを成し遂げたのか??というのはわかってます。
でも、違うんよ・・・そういうことじゃないんよ・・・。
ゲームを一人で作り上げる大変さ
僕もその昔、RPGツクールというソフトを使って自分のオリジナルゲームを作ろうとしたことがあります。
RPGツクールはマップセットやら人物グラフィックス、各種パラメーターにBGMといったものがあらかじめ用意してあって、「こんなRPGが作れますよ~」っていう土台の上で自分のアイデアを駆使したゲームを作り上げていくというものでした。
当然プログラムなんかを意識することはなく、チャッチャとゲームが作り上げられていくわけです。
・・・が!!
それでもRPGツクールを使って「完成」にまで漕ぎつけた猛者はどれぐらいいるのだろうか??
要はですね・・・一人でやるっていうのはなかなかモチベが続かないんですよ。
ちょっと作ってはデバッグしてを繰り返し・・・なかなか地味な作業が続くんです。
新しい誘惑だって出てきちゃうしね。
それを「完成しました!プレイしてみてください!!」つって販売できるというのは本当にすごいことだと思ってます。
VC++!
白紙から完全手打ち!
約62万行プログラミング!
グラフィックも!BGMも!
すべてが完全自力!
『 F A U N A I R
ー フ ォ ー ン ア イ ル ー 』!
英語版も完備!
Steamにて好評販売中!
↓販売先リンクhttps://t.co/ZLb3xMmnHp#ファミコン pic.twitter.com/9smXbrR67X
— 11 PLANNING (@11PLANNING2020) February 20, 2023
VC++使って白紙から作ったって書いてますし、グラフィックスもBGMも自分でやったっていうので・・・めちゃくちゃ大変だったろうなと。
でもそれ、ユーザーには関係ないんよ・・・
ただね・・・ソレ、ゲームをプレイするユーザーには何ら関係ないことなんよ、、、
お金を払ってゲームを買うという行為の裏には「そのゲームが楽しいか」「何か革新的な体験があるか」といった期待があるわけで、「一人で全部作ったかどうか」というのはユーザー側の評価ポイントには加算されないんですよね。
これね、飲食店とかで考えたらわかると思うんですけど・・・。
ご飯を食べに行く時に「安い、早い、美味い」みたいな部分って評価軸になると思うんですが「あの店は安くも早くも美味くもないけど、一人で全部やっててすごいから行こう」とはならないんじゃないかなと。
なので「62万行プログラミング手打ち」と言われても「外部に委託すれば良かったやん」とか「何かしらの使いまわせるフレームワークなかったん?」とかいう話になっちゃうんですよ。
(こういう「元からあるものを1から作り直すこと」を「車輪の再発明」というそうです)
これが商売の本当に難しいところでw
作っている側は自分が努力したところを評価して欲しいんだけど、受け手側にとっては結果が全て・・・みたいなね。
「趣味で白紙からゲームを自作したのでプレイしてみてください」つってフリーダウンロードだったらまだ「すごいじゃん」っていう評価が得られたと思うんです。
承認欲求を満たすためだけだったらこっちで十分だったかと。
それを「販売」ってしちゃうと・・・そしてドラクエをこき下ろしてって話になっちゃうと、また別というかね。
難しいやね。
もしプログラミングがすごかったのなら
あとは内部的なところで、FC時代(2~4)のドラクエ戦闘シーンで容量の問題で背景がなかった点を「そこをなんとかするのがプロの仕事」と斬っていたのを見るに、おそらくはプログラムコードあたりに絶対的な自信があるのだろうと思うのです。
何かしらコードを省略することで背景グラを制限容量内に収められたはずだ、とか。
だとしたら・・・「ドラクエのセンス」ではなくて「ドラクエのプログラムセンス」を相手取らないとダメでしたよね。
チュンソフトはクソだ、みたいなw
・・・それこそ当時の開発環境とかを考えたら「よー言わんわ」って話だと思いますけども。
ドラクエ全体のセンス云々って話になっちゃうと、フォーンアイルが採用しているUIとかも含めた話になってきちゃうじゃん?
勝手に人の家のタンスやら壺やらを勇者が荒らして回るというようなシステムだって、当時初めてドラクエをプレイした時にめちゃくちゃ楽しかった覚えがあるもの。
それを最初にああいう形で表現したという点を考えれば、ドラクエのセンスがいかにすごかったか理解できるんじゃないかと、、、
※とかいうと「和風RPGの原点はDQではない」みたいな論争にもなりそうですが・・・まぁ、なんとなく言わんとしてることはわかるでしょ!
おわりに
というわけで・・・フォーンアイルというゲームを讃える時に「一人でやったのはすごい」というのは、やっぱりなんか違うんじゃないかなーというお話でした。
あくまで趣味で作ったものというのであれば全然、「めちゃすごいじゃん!!」って評価ではありますが・・・いざそれが販売という形になり「ドラクエより俺のほうが」みたいになってきちゃうとね・・・。
ちな、「これは炎上商法だから」っていう意見もありましたが・・・だとしたら(感心はしませんが)優秀だよなぁ。
マクドナルド兄弟にレイ・クロックが目をつけたように、世の中の素晴らしいサービスには「世に広める役割をする人」というのが必要でして・・・。
もしフォーンアイルではない、本当に革新的ですごい(ひとりで作ったのではない)ゲームを宣伝するのだとしたら「ドラクエなんてクソ」という煽り文自体には価値があるのかもしれませぬ。
2023/03/09