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ブログでの歌詞掲載についてJASRACに問い合わせてみた。

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      2020/02/13

今から15年前ぐらいの話。
友人と運営していたウェブサイトにThe Yellow Monkeyの歌詞の一部を無断で載せていたとして、僕らはJASRACから使用料を払うよう命じられた過去があります。

それ以来、ブログにはたとえ歌詞のほんの一部でも載せないように気を付けるようになりました。

ただ、楽曲やアーティストの紹介をするときには、どうしても歌詞の美しさを伝えたいと思うことがあるんですよ。
いきなり「この曲いいから聴いてね!」と言われるよりも、「こうこうこういう歌詞で、こういう気持ちを歌ってて、それがいいんっすわ~」とか言われた方が圧倒的に「聴いてみたい!!」って思うはずですし。

そこで、ブログでどんな範囲で歌詞を載せるのがOKなのか、どんなふうにしたらアウトなのかを直接JASRACに問い合わせてみました。

回答はすんなりと頂けたんですが、まー、、、あらかたの予想通り「ケースバイケース」といった感じです。
ただ、ある程度の基準みたいなものはわかったのでまとめてみました。

JASRACに問い合わせた内容と回答の概要

JASRACに歌詞の掲載について問い合わせた経緯は上のとおりです。
ちなみに以前「無断で掲載」していたウェブサイトでは「The Yellow Monkeyのこんな歌詞が好き!」みたいなページを作って、歌詞の一部(たとえばサビの一文とか)を紹介していました。
※誤解の無いように書いておくと、アーティスト側からの申し立てではなく、あくまでJASRAC主導での取り締まりらしいです。(本当かはわからないけど)

さて、僕が今回問い合わせた内容を要約すると以下のようなものでした。

  1. 歌詞の一部であってもブログに掲載してはいけないのか
  2. 歌詞のフレーズが一般的な言葉だった場合、それを掲載した時に楽曲の利用であると解釈されることもあるのか
  3. 歌詞をそれとわからないような当て字等に変換して掲載した場合はどうか

それに対する回答は、

  • 引用と利用
  • 著作物性
  • 同一性保持権

によって判断されるとのことでした。

一つずつみていきます。

歌詞の一部であってもブログに掲載してはいけないのか

現在、インターネット上では、気になるアーティストの楽曲の歌詞全文を検索によってすぐに見つけることが可能です。
それらは「楽曲だけ手元にある」という状態で、歌詞がわからない場合に重宝するものですね。

当然そうした歌詞全文を載せるようなサイトであれば著作権料を支払うというのは納得できるのですが、前述の僕の過去のケースのように歌詞の一部を掲載するだけでも使用料をガッツリ搾取されるというのはなんだか釈然としないところがありました。

これに関しては「引用と利用は違う」ということで説明がつくようです。

引用の線引きこそが「ケースバイケース」なので難しいんですが、少なくとも以下の要件を満たしている必要があるとのこと。

1 既に公表されている著作物であること
2「公正な慣行」に合致すること(社会感覚上、妥当なケースとして認められるか)
3 報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること(必要最小限度であること)
4 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
5 カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
6 引用を行う「必然性」があること
7 「出所の明示」が必要(本件ケースの場合、作詞者・作品名など)

簡単に言えば「誰が見ても引用だよね」っていう状態になっていなければダメってことです。

これはJASRAC管轄の楽曲に関しての話だけではなく、例えば写真なんかを他所のサイトから引っ張ってくる場合にも当てはまりますね。
自身のブログ記事を書くにあたって、補足的な資料が必要となり他者の著作物をブログに掲載した・・・とかなら引用に値するのではないでしょうか。
逆にそのもの自体が主役になってしまう場合は「引用ではなく利用」と捉えられるでしょう。

ただ、例えば「引用にした歌詞〇文字に対して、解説や批判が〇文字以上」とか「引用部分の明確さ」「出所の明示」に関してもどうすればOKというようなものはなさそうなので、JASRAC(および著作者)側から「これは引用とはいえない」と言われたらそこまでなのかな・・・という気もしています。

引用に関しては文化庁公式サイトの「著作権なるほど質問箱」においてもいろいろと解説があるので、トップページから「引用」で検索するとある程度判断しやすいかもしれません。
[参考]著作権なるほど質問箱

歌詞のフレーズが一般的な言葉だった場合、それを掲載した時に楽曲の利用であると解釈されることもあるのか

著作権については「気づかないうちに侵害していた」ということもあるんじゃないかと思っています。
例えば楽曲の歌詞なんて一般的な言葉の寄せ集めじゃないですか。

なので、例えば誰かに会いたい気持ちが強すぎて震えてしまったエピソードを書いた文章がアウト!!!って可能性も秘めているんじゃないかと思ったわけです。

これについてはその文章の「著作物性(著作権法第2条1項1号)」について説明がつくそうです。

ご利用部分の長短によらず、歌詞の一部とは言い切れない一般的な単語のみであれば、歌詞の著作権が及ぶとは考えにくい一方、その歌詞の独創的な表現が認められるのであれば権利が及ぶこともあり得るものと思われます。

これもやっぱりケースバイケース。
「一般的な単語だから仕方ないっしょ!」とも言えるけど「いや、会いたいからって震えないでしょ。それは独創的な表現です。」と言われたらそれまで・・・みたいな捉え方もできそう。

・・・でもなぁ、例えば下水に生息しているようなネズミを「美しい」と思うような感覚だって、それを持ち合わせている人間がたまたまいたとしてもおかしくはないわけで・・・独創的な表現というのもなかなか難しいような。

「常識的に考えてね」ってことでしょうかね~。

歌詞をそれとわからないような当て字等に変換して掲載した場合はどうか

もう一つ気になったのは、例えば「ある晴れた日に~」みたいな歌詞があったと仮定した場合、「或ル、腫れたheに~」みたいな改変をして掲載した場合です。
なんとなくこれ、「元の著作物じゃないですけど。」ってシラを切れそうな感じがするじゃないですかw

ただどうやらこれが一番アウトみたいでしたw
著作物の「同一性保持権」を侵害する行為とみなされるそうです。

これはJASRACがどうこうだけでなく、著作者もだまっちゃいねーぞ!ということが往々に起こり得る問題みたいですね。
詳しくは森進一さんのおふくろさん問題や、マッド・アマノ氏のパロディ事件について調べてみると面白いと思います。

この同一性保持権というのはなかなか難しそうですね。
例えばゴッホの有名な作品として、背景に浮世絵が使われていたものがあったじゃないですか。
あれが「引用」の範囲内なのか、それとも「同一性保持権」を侵害した内容に値するのか・・・僕らには判断がつけられない部分だと思うんです。

あるグラビアアイドルの写真を引っ張ってきて、髭を付け加えて「現代アートだ」なんて言ったって、たぶん許されないっていうのはわかるんですけどね。

まぁ、いずれのケースにおいても(こと、日本の音楽に関しては)掲載前に一回JASRACに相談した方が無難だと言えそうです。

ついでにその他の楽曲に関する著作権関係についても調べてみた

ちょっとついでだったのでいろいろ調べたことがあるので、それも追記しておきます。

タイトルの掲載はOK

著作権はなかなか不思議なもので、歌詞にはその権利がありながらもタイトルには権利がないんだそうです。
[参考]「これ知ってる?」 著作権にまつわるギモン:ブログ(JASRAC PARK)

ってことは「リンダリンダ」という楽曲のタイトルを掲載する分には、とくに権利の侵害について心配する必要はないということ。
「会いたい」とか「おふくろさん」もそうですね。

そうなってくると、歌詞からそのまま引っ張ってきただけの妙に長いタイトルをつけてくれるアーティストの楽曲とかは、なんだかお得感がありますね!w

公共の場で使うからNG

著作権物の権利侵害というのは、主に「公共の場で使う」ということがNGなんですよ。
だからたとえば、好きなアーティストの曲を、家族しかいないような家の中で(音漏れしないようにしっかり注意して!)歌うぶんには怒られないんです。

でも、この公共っていうのがなかなか難しくて、ひとたびそこに「数人の友達」だとか「不特定多数の人」みたいな要素がはいるとNGなんですね。
だから厳密に言えば、お風呂につかりながら鼻歌を歌っていて、その音が漏れていて”誰か”が聴けるような状態にあれば、もう著作権は侵害されてるということになるわけです・・・!

※ネタにされてるけど、実際そういうことだよなぁ・・・?

営利目的でなければOK

公共の場で使っちゃダメってんなら、学園祭でコピーバンドが版権曲を演奏するのもダメってことになりますよね。
じゃああれ、学校側がJASRACに使用料を払っているのかというと、そういうわけではないようです。

学園祭ライブというのは基本的に入場料を徴収するようなものではないので、営利目的に値しない・・・と。
JASRACとしても営利目的でない利用であれば、使用料の搾取はないんだそうです。

[参考]ジャスラの音楽著作権レポート(JASRAC PARK)

ただし、歌詞カードなんかを不特定多数の人に配布するような行為はアウト。
また、撮影した映像や録音した音楽の配布もNGだそうです。

うーん・・・とはいってもこれ、営利目的っていうのも結構アバウトな感じがあって難しいですよね。
学園祭は授業の一環であるとはいえ、普通に学生がやってる屋台とかは原価以上のお金取ってるじゃないですか。
僕はそういった屋台とライブっていうのを切り離して考えることってできないと思うんですよ・・・。

たとえば飲食店や美容室でのBGMのケースに似ている気がしています。

飲食店や美容室は「営利目的」

飲食店や美容室では、利用する側は特に意識していないかもしれませんが、常にBGMが流れています。
稀にBGMのない店に入ると、ちょっと異質な空気感を覚えるものです。

でもそういうお店を利用するときって、利用者としては「料理」とか「髪の毛のセット」といったサービスにお金を払っているのであって、BGMそのものにお金を払っているわけじゃないですよね。
変な話、そのBGMがなかったとしても食事をしに行ってるかもしれないわけですし。

なのに、こういったBGMの使用は「営利目的」に値してしまうんですよ。

なんとなくですが、「うちはジミヘンの曲が常に流れている”ジミヘン・バー”です」みたいなお店だったらわかるんです。
あきらかにジミヘンを餌にしてお客さんを釣っているわけだし。

でもそうではなくて、ただただ店長が好きな曲をかけているだけ・・・とかだったら学園祭の構図と変わらないような気もするんですけどね・・・。
・・・文句を言っても仕方ないですがw

僕も以前飲食店をやっていたころ、オープンして1ヵ月もしないうちにJASRACから電話がかかってきて心臓が止まるかと思いました。
※JASRACと契約をしている有線のサービスを使うことで間接的に利用料を収めることになりました。

音楽教室は営利目的?

最近話題になったのは、音楽教室で版権曲を使った場合には「公共の場かつ営利目的」ってことで利用料が発生するよーって話でした。

これに対して宇多田ヒカルさんとかが「生徒の練習用だったらタダで使ってほしい」みたいなことを言っていたそうですが・・・これも本当に難しいですね・・・。
ていうか、著作権はもう全部が難しすぎますw

音楽教室っていうのは明らかに「営利目的」で運営されているわけですよ。
月謝を支払ってピアノを習ったりするんですから。
僕も子供の頃に行きたくもないのに通わさせられてたものです。

そこでクラシックなどの著作権が切れている楽曲を使用するのではなく、版権曲を使うというのもやっぱり営利目的だとは思います。
「子供に楽しく楽器に触れて欲しい」っていうのは、今後も教室に通い続けてもらうための広告費みたいなものですし。

ただ・・・「別によくね???」ってのが消費者の感覚だとは思いますけどね・・・。

おわりに

というわけで、ブログへの歌詞の掲載についてJASRACに問い合わせてみた内容でした。

個人的には、著作権は著作権として絶対に守られなければならないものだと思っています。
そのためには管理する会社も必要だし、「誰でもどんな状態でも無料で使っていい」という状態になってはいけないと思っています。

ただ、JASRACのやり方が必ずしもアーティスト(および事務所)の方針と合致しているのかは微妙ですけどね。
あまりにも厳しく取り締まるのは逆に業界の首を絞めることにもならないかなぁ・・・と心配です。

ちなみに、アフィリエイト収益があるようなブログの場合は、有無を言わさず「商用配信」ということになるそうです。
要するに営利目的とみなされる・・・のかな。
ただ、中にはブログサービスがJASRAC使用料を収めてくれているところもあるので、要確認・・・といったところですね。

今回の件を受けてなお僕は「ブログにはやっぱり歌詞載せないでおこーっと」と思いました。

   

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      2020/02/13

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