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「オツベルと象」を読んで人間のズル賢さは自警手段なのではと気付く

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「なかなかいいね。」象も云う。

その特徴的なフレーズや、テンポのよい文体ばかり記憶に残っていた、宮沢賢治さんの小説「オツベルと象」。
30年ぐらい前に国語の教科書で読んだきりだったので、どんな話だったかと青空文庫で読んでみました。

[参考]宮沢賢治 オツベルと象

・・・めちゃおもろいやんけ、、、

簡単にいうと「ズル賢い雇用主(オツベル)」と「日和見主義の労働者(百姓たち)」、「ブラック企業に一矢報いた者(白象)」っていう社会風刺作品なのかなと思います。
象が作業小屋に入ってこようとも我関せずな百姓たちっていうのが、まぁ・・・僕ら一般的な日本人労働者の姿を現しているんじゃないですかね。

行動を起こしてオツベルをくしゃくしゃにしたあとも心の底からは喜べなかった白象の気持ち・・・今ならなんだかよくわかります。

※嫌な相手がいたからって、「その人を殺したら解決」なんてことはないのよな。

さて・・・そんな話を今朝妻としていた時のこと。
妻は「どうして善良な象にそんな酷いことができるんだ!」と物語の登場人物に非常に腹を立てておりました。

なんとなく僕は「人間が賢いからじゃないか」と思ったんですよね。
賢くなければイジワルなんてしないというか、、、

オツベルがやっていたことはあくまで「自警」だったのかもしれないのです。

敗者の両腕を切り落とす国の話

最近千原せいじさんが語っていた、シエラレオネのお話。
ダイヤモンドの利権をめぐる内戦で、負けた人の腕を切り落とす慣習があったそうで、「国民の半数は両腕がない」とのことでした。
(実際は半数ではなく、誇張した表現だったようですが)

これは何もシエラレオネだけでなく、ルワンダやコンゴ、ウガンダなど、周囲の国でも行われていたらしいのですけども。
要は相手に恐怖心を与えたり、手間を増やしたりで戦力を縮小させることが目的だったわけですね。

つまり、勝者側が報復を恐れた自警手段として行っていたのかなと。(憶測ですが、、)

でね・・・よくまぁそんな酷いことができるなと、遠くの国でノホホンと暮らす僕らは思うわけなんですが。
程度の大小さえあれど、実は自分たちも日常的に「自分の利権を守るために、他者に酷いことをしている」ことがあるんじゃないかなと。

くりぃむナンタラのクズ芸人企画

先日のくりぃむナンタラでは、クズ芸人とされる人たちを1つの部屋に集めて、どんな行動を起こすのかをモニタリングする企画が行われました。

5人の芸人さんがいる部屋に何の説明もなく1つだけ焼肉弁当を置いて。
参加者たちは
「これを食べたら終了ってこと・・・?」
「食べた人だけが罰ゲーム・・・?」
みたいな感じで疑心暗鬼になっていき、どうにか自分だけは助かろうともがく様を楽しむというような内容だったのですw

いやー・・・クズ芸人とかなんとかいってるけど、普通そうするでしょ。
1つだけ焼肉弁当が置いてあって、いきなり自分だけ「食べまーす」ってやるのは単なるサイコ野郎だと思いますし。

やっぱり自分だったら、どうにか様子を伺いつつ自分が助かる方法を探るよなーと。
そのために頭をフル回転させると思うんですよね。

だってそういう風に「考える」という能力は人間に備わった武器なんですから。これで生き抜いてきた種族なんですから。

自分が利権を得るために、とりあえず誰かに焼肉弁当を食べさせて様子を見る・・・。
これ、シエラレオネの少年兵がやったことやオツベルがやったことと何が違うんでしょうね。(残虐さが違うかな?)

おわりに

そういうわけで、オツベルがやったことっていうのは・・・白象、つまり自分が腕っぷしだけでは太刀打ちできない相手に対し、言葉巧みに彼を利用して、弱らせて・・・結果的に自分を守るということに過ぎなかったのかもなぁーと。
そういうお話でした。深い!深いぞぉー今日のブログは!!

ちなみに・・・話は逸脱しますが、オツベルと象の最後の一文。

おや〔一字不明〕、川へはいっちゃいけないったら。

これ、唐突すぎて中学生の頃に読んだ時も「???」という感じでしたが、オジサンになった今でも「??????」でしたw

いろいろな解釈があるそうで・・・「おや象、川へはいっちゃいけないったら」とか「おやめ、川へはいっちゃいけないったら」とか・・・「おや君、川へはいっちゃいけないったら」など不明文字が何なのかによって変わってきそうなんですよね。

小説の頭が「ある牛飼いが物語る」となっていたところから、「牛飼いが川辺でそこらへんの子供に語っているお話」と仮定して、話が終わった直後ぐらいに「わーい!」って川へ入っていこうとした子たちを止めている、という説が有力らしいです。
(それによって白象の物語から現実世界へ意識を引き戻しているとかなんとか)

僕は結果的にオツベルをくしゃくしゃに(殺)してしまうことになった象がこの世を憂いて川へ身を投げようとした・・・って説もありうるのかなと思いました。
(だとしたら「誰がいつ象に声をかけとんねん」って話になってきちゃいそうですがw)

   

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