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出産と自殺には果たして本当に因果関係があるのだろうか??

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ちょっと前にガレソさんとこで取り上げられてたこちらの件。

僕はわりと簡単な話なんじゃないかと思ったんですが・・・そんな単純な話でもないんですかね??
気になったので調べてみました。

話の概要

これがどういう話だったかというと・・・

産後1年以内の女性の死因1位は自殺って知った時に、子育ての過酷さを察した。 出産子育ては女の幸せ、みたいな迷信に惑わされなくなった。

という元ツイがあって、これがまぁ「嘘じゃないけど嘘」っていう指摘を受けたわけですね。

2018年時点のNHKの記事で「出産後1年未満の母親が2年間で92人も自殺した」ということを「異常事態」として扱っていたそうで、それに対して「20代~30代の女性が自殺した数の平均がそもそもそれより多い」(自殺数の平均とは言ってないけど)ということを根拠に、「逆に出産後の方が自殺者少ないやんけ」というツッコミがなされたわけですよ。

要するに産後1年以内の女性の死因1位は自殺」というのは嘘じゃないんですけども、そもそもその年代の死因第1位が自殺なので「子育ての過酷さ」とは結び付かないというか。

自分が信じたい話を正当化するために、うまく事実を湾曲した感じなんですかね。

NHKの方はしっかり見てないんですけど、だとすれば「偏向報道」ってことになるのかなと。

おソース見てみた

でまぁ、僕は統計学については非常に疎いですので、難しい話はよくわからないんですけども。
要は「女性の全体数」と「自殺者数」、「出生の全体数」と先のNHK報道による「出産1年以内の自殺数」というのを比べてみたら見えてくるんじゃないかなと思いまして、厚生労働省の資料を見てみました。

※2018年(平成30年)に「過去2年間の自殺者数がー」っていう話をされてたので、仮に前年である平成29年の資料をみています。

出生数については19歳以下および40歳以上の妊婦さんというのもいるんですけど、平成29年の出生数全体の6.71%にしか満たなかったので、20歳~39歳までのデータで比較してみると・・・

人口 自殺者数 割合
20-39歳の女性総数 13,476,000 1,299 0.0096%
うち出生数ベース 882,552 46 0.0052%

こんな感じ。

産後1年以内の自殺者は”2年で92人”とのことでしたので単純に半分にして46人とさせて頂いてます。
また出生数は平成29年のデータを参考にしてますが・・・「産後1年以内」ということなら28年のデータで比較するべきだったかもしれませんね。

その場合911,007人となるため、割合はより少ない0.0051%未満ってことになります。

つまり単純に考えたら「産後1年以内の自殺者の割合」は出産していない女性に比べて半分ぐらいに少ないはずなんですが、なぜかこれを大々的に取り上げていた・・・ということになるわけですよね。
Hmm…何がしたかったんや・・・。(少子化に拍車をかけたかったのかしらw)

※もしかしたら「出産直後なんて幸せなんだから自殺数はもっと極端に減らないとおかしい」とか、そういうことなんですかねえ。

死因の1位が自殺なのはあたりまえ・・・?

ちなみに同年の20-39歳の女性の死者数は4,060人だそうなので、そのうちの1,299人(およそ30%)が自殺で命を落としている・・・となると、「死因の1位が自殺」というのはやっぱり間違ってなさそうです。

ただし、そもそもの問題として、死因なんて「老衰」「悪性の病気」「事件・事故」「自殺」ぐらいしかないと思うんです。
で、20~30代の女性において「老衰」は基本的にありえないじゃないですか。(ないとは言わないけど)
悪性の病気にかかるリスクというのも、高齢者に比べて少ないと思います。

事件や事故っていうのも、巻き込まれる方が珍しいわけで、、、
となると「自殺」が上位にくるのって、実は「あたりまえ」だったりしませんかね・・・。

厚生労働省のHPより

※乳幼児やお年寄りの死因第一位が「自殺」であれば奇妙ですが。。。

もちろん、自殺することを良しとしているわけではなくて・・・データとして「そらそうやろ」っていうだけの話です。

その証拠(?)に、女性に限らず男性だって20~30代の死因は自殺がトップですし、、、

同年における女性の自殺者の数なんて、40代〜80代がほぼ横ばい(だいたい1,000人)じゃないですか。

つまり、高齢になれば自殺者が減るというわけではなく、他の理由で死ぬ人が増えるから相対的に死因の自殺の率が減っているだけ・・・そもそも何歳だったとしても自殺者はいっぱいいる、ってことなのかなと。(まぁそれが問題なんですけどね、、、)

おわりに

ま、そんな話です。
何かクリティカルに間違っている部分があったら教えてください。

なんかねー・・・こういうのは「信じたい話を盲目的に信じるために、都合の良いデータを用意する」というような感じがして怖いんですよ、、、(自分も気づかずやってそう)

↑極端すぎて笑えますけど、まさにこんな感じw

あれですよ。
「コロナワクチンを打ったヤツは向こう80年以内に死ぬ。。。」みたいな。

まぁ、元ツイの人がどういう気持ちで発言したのかはわかり兼ねますが、結果的に「出産した方が逆にメンタルが安定しやすい」って認識が広まることになったのかなー・・・?

そもそもメンタル弱ってた人が妊娠出産をすることでも自殺を思いとどまれるのか?
また、病気や事故で亡くなった方が仮に生きていた場合に自殺を選ぶ可能性はなかったのか?

などなどを考えだすと、どこにどんな因果関係があるのかは見えてこなさそうですけどね~。

追記

これ、一時期流行った「タバコのポイ捨ては100%煙草を吸っている人がやっている」とかにも似てますね。そらそうやろ、っていう。

これも嘘じゃないんだけれど「ポイ捨て」という行為を「タバコ」で切り取っているのがフェアじゃない感じなのかなー。

   

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Comment

  1. まつもと より:

    いつもこちらのブログも愛読させて頂いてます。ミニカーのほうから来ましたまつもとです。

    私はこのツイート見てものすごく意見したくなったのですが、色々あって思いとどまりました。勝手ながらここで吐き出させてください。笑。

    私はツイートの主旨を「産後うつは重要課題ではない」だと受け取りました。(異論は認める)

    私もNHKに両手を挙げて賛成というつもりもないものの、かと言ってこのツイート内容も何かを論破(笑)できているわけでは全然ないと思ってまして。

    ◆まず、偏見も多分にあるかもしれませんが、私見では「自殺する方の大まかな属性として、結婚や出産に縁の遠い方が(かなり)多いだろう。」という仮説って、的外れではないと思うんですよね。
    (当然、例外はもちろんありますし、実証は難しい仮説ですが)

    結婚や出産できてる人の自殺率って、そうでない人と比べて結構低いんじゃないかと。
    (繰り返しますが何事も例外は当然あります)

    ◆なので、出産した、という属性のグループの中に限れば、産後という時期の自殺率が低いといえるかどうかは、全女性平均と比較してもあまり意味がないのではと思っています。
    →そのグループの自殺率のベースラインが全年齢で低く、もしかしたら、その中でいえば産後が突出してる可能性だってあるのではと。

    ◆なので、ひとつ明らかに見るべきは、「結婚、出産に至った人の、その後の人生の年齢層別自殺者数のなかで、出産直後が多いかどうか」だと思うんですよね。
    それが多いか否かで、産後ケアの必要性を評価すべきではと。

    (ちなみに、私の当初の仮説が正しかったとして、もし「自殺者数を減らすことが目的」なのであれば、その第一のターゲットは産後うつではないかもね、ということにはなりますが。)

    チラ裏(死語)長文でコメ汚し、すみません!

    • kaketayo より:

      まつもとさん

      あら〜!コメントありがとうございます!

      ツイートにあれこれ言うのは危険ですよねw
      ブログに書いてる時点でどうなんだ、と言われてしまえばその通りなんですが^^;

      >仮説って、的外れではない

      ありますよね・・・大きな声では言えないけれど「そうなんだろう」みたいなことって。

      しかし、なるほど・・・そうか。
      産後の自殺率だけを見ても意味がないっていうのはすごくわかりました。
      これ何も結婚やら出産やらっていうイベントだけでなく、じゃあ「大学に行った女性はー」とか「朝ごはんを抜いている女性はー」とか、複合的なデータで見ないと何とも言えないですな、、、

      さらに言うと出産っていうのが望んだ結果なのか否かによっても違うでしょうし、全然「産後」というだけでくくるのはナンセンスなのかもなぁ・・・と思わせられました。

      仰るとおり「自殺者数を減らす」というのであれば、産後云々とは違ったカテゴリー分けで考えなければダメな気がしますし、それはそれとして産後のケアに関する(特に男性の)意識を変えていった方がいいんだろうなと。