【初心者向け】クラフトビール、ラベルから選ぶ4つの方法。
2022/09/29
近年話題のクラフトビール、飲んでみたいけど色々あってよくわからない。
そんな時はボトルのラベルからこの4つを見ればある程度予想がつけられます。
- アルコール度数を見る
- 原材料を見る
- 原産国を見る
- スタイルを見る
この方法だけ覚えて、楽しくクラフトビールを知っていきましょう。
クラフトビールをラベルから選ぶ4つの方法
アルコール度数を見る
これは一番簡単な方法ですね。
日本でよく飲まれているビールのアルコール度数は5%前後。
近年カリフォルニアから流行り始めたセッションIPAというビールは3%ぐらい。
反面、伝統的なビールは8~10%といったところです。
ワインのアルコール度数が10%前後、焼酎やウォッカなどスピリッツが40%ぐらいと目安をつけておけば、どれぐらいアルコールが強いビールなのかを知る事ができます。
アルコールの量はそのままアルコールの辛味として味わいに影響しますので一つの基準になりますね。
面白いもので、アルコールが高くなればなるほど、ビールもまったりとした舌触りになってきます。
昔、アメリカのサミュエルアダムスというブランドのビールで「UTOPIAS」という高アルコールビールがありました。
たしかアルコール度数は30%ぐらい。
今日本で買えるものだと、オーストリアのサミクラウスというビールが14%ぐらいと、比較的高アルコールです。
原材料を見る
正規輸入品のビールなら、必ず裏に輸入代理店のラベルが貼ってあります。
そこの原材料の項目を見るだけでもクラフトビールの楽しさがわかると思います。
※アルコール度数もここに書いてありますね。
基本になるのは「麦芽」と「ホップ」。
あとは「水」と「酵母」なんですが、この2つは書かれていない事が多いです。
ドイツや日本の伝統的なビールは基本的にこの4種類しか使われていません。
が、ベルギーやアメリカなど、クラフトビールに大きな可能性を見出した国のブルワーが作ったビールだと、色々なものが入っていて面白いです。
原材料はそのままではなく、あくまで隠し味としてビールに含まれているので、飲みながらその味わいや香りを探していくのも楽しみの一つです。
例えばベルギーなら「オレンジピール」と「香辛料」が入った「ベルジャンホワイト」というスタイルが有名です。
小麦が白ビール、焙煎が黒ビール
また、基本となる麦芽とホップにも注目です。
麦芽と書かれている場合にはたいてい「六条大麦麦芽」の事ですが、中には「小麦」が使われているものや、「二条麦芽」が使われているもの、また大麦を焦がしたものなんかもあります。
一般的に小麦が使われているものが「白ビール」、麦芽を焦がしたものが「黒ビール」と呼ばれて親しまれています。
白ビールはふわっとした味わい、黒ビールは焦がした(焙煎の)苦味が効いた味わいという感じです。
ホップに関しては裏のラベルから読める事はほとんどありません。
が、アメリカのビールなんかは特に、表のラベルからホップの種類を見るだけでも人によってはテンションが上がるぐらいキャラクターの違いがあって面白いです。
原産国を見る
そのビールが作られている国を見るだけでも、なんとなくわかります。
あくまで例えば、ですが、国によってまとめるとこんな感じです。
ドイツや日本は真面目な感じ
原材料となる水の性質が似ていたという話がありますが、国民の気質が似ているのかもしれませんね。
代表的なところだと、ドイツのドルトムンダーというスタイルのビールは、日本のサッポロヱビスが参考にしたと言われています。
キリッと冷やして飲みたい感じですね。
イギリスはまったりと昼間から飲む感じ
イギリスのビールは、少しフローラルな香りがする印象です。
これは多くはイギリス産のホップに由来しているのかもしれません。
また、エールという発酵方法のビールが多く、少しぬるめの温度で飲むのが適しています。
ベルギーは不思議ちゃん
ベルギーのビールは一時期「酸っぱい」と言われていましたが、「グース」「クリーク」という酸味の効いたビールを飲まれた方が多かったのかもしれません。
でもベルギーはそれだけにとどまらず、すごくビールが多彩です。
上述した通り、スパイスを原材料に入れてしまっていたり、サクランボやアプリコットを漬け込んだビールやオーク樽で寝かせたビールなど見ていて飽きません。
オーク樽で寝かせたレッドビール「ローデンバッハ」
アメリカは前衛的
一時期は「軽くて薄い」と言われていた通り、バドライトやクアーズライトなどを代表するライトピルスナーが印象的なアメリカのビール。
これらはアルコール度数3%程度のまさにグビグビいけるビールで、食前の炭酸水やスパークリングワインのような感覚で飲むのにいいかもしれません。
が、アメリカのスーパーのビールコーナーに行けば、実にたくさんのクラフトビールがある事に驚かされます。
近年アメリカを代表するスタイルとなったのが「アメリカンIPA」というスタイル。
苦味と香りの元であるホップを大量に効かせたビールで、注いだ瞬間の香りと飲んだ瞬間の苦味が強烈でファンが急増しています。
またアメリカのビールの最大の特徴といえば、そのホップのキャラクターにあり、多くはグレープフルーツやレモンなどの「柑橘系」の香りがするビールを造りだします。
だから、アメリカのクラフトビールと聞いたら「柑橘系ね!」と言っておけば間違いないですw
カスケードというあまりにも有名な柑橘系のホップを最初に使った歴史的ビール「シエラネバダ・ペールエール」
その他の国も多彩
ほかにもスコットランドやデンマーク、最近ではイタリアのクラフトビールが徐々に注目されだしていて、日本でもよく見かけるようになりました。
ただ、あくまで「方向性」こそあれ、国によってビールの味が決まるということはないのであしからず。
(たとえば日本でもアメリカンIPAは作られています↓)
日本のアメリカンIPA、ヤッホーブルーイングの「インドの青鬼」
スタイルを見る
ここまででもちょいちょい書いてしまいましたが、スタイルを知る事ができると一気に選択の幅が広がります。
例えばこの写真ならIMPERIAL INDIA PALE ALEというスタイルから「インペリアルだから、濃厚なんだろうなー。インディアペールエールだからかなり苦いんだろうなー。」という想像がつきます。
ここでは代表的なものをいくつかだけ書きます。
ベルジャン・ホワイト (Belgian White / Wit)
小麦を使った白ビールに、オレンジピールやクローブなどの香辛料を使った伝統的なスタイルです。
今や世界中で愛されるスタイルで、有名なのはベルギーの「ヒューガルデン・ホワイト」、アメリカの「ブルームーン・ベルジャンホワイト」、日本の「常陸野ネストビール・ホワイトエール」など。
同じベルジャン・ホワイトと言えど、ブルームーンは「バレンシアオレンジの皮」を使っていたり、ホップの種類が違ったりすることでキャラクターが少しずつ変わるのもクラフトビールの楽しいところです。
バレンシアオレンジの皮×柑橘系ホップのカスケードを使ったベルジャン・ホワイト=ブルームーン
アメリカンIPA (American IPA / American India Pale Ale)
正式名称は「アメリカン・インディア・ペール・エール」で、前述の通り”香りと苦味のもとになる”「ホップ」を大量に投入することで強烈なインパクトが得られるビールです。
イギリスの「IPA」というスタイルを参考に、アメリカ産のグレープフルーツのような香りがするホップを使ったものが「アメリカンIPA」になります。
このスタイルが今、事実上のクラフトビール人気No.1と言えるのではないでしょうか。
アメリカンIPA知らずしてクラフトビールは語れません。
代表的なものだとアメリカの「ストーンIPA」、日本の「ヤッホーブルーイング・インドの青鬼」、スコットランドの「ブリュードッグ・パンクIPA」など。
スタウト (Stout)
日本では「黒ビール」といっしょくたにされてしまいがちですが、黒いビールの中でもとりわけアルコール度数が高めでまったりとした味わいのスタイルが「スタウト」です。
原材料となる大麦を焦がして使用していて、その焙煎感はコーヒーのような香りにも感じられます。
まさにそのままコーヒーのような使われ方をして「ミルクスタウト」「スイートバニラスタウト」というスタイルがあったりするのも面白いですよね。
代表的なのはアイルランドの「ドラフトギネス」ですが、どちらかというと「ギネスエクストラ」とか、スリランカの「ライオンスタウト」、日本の「アサヒスタウト」の方がまったりとした本当のスタウトという感じです。
※余談ですが、日本の「キリン一番搾りスタウト」というビールは、厳密には「シュバルツ」という黒ビールスタイルで、スタウトではありません。
クリーク (Kriek)
ベルギーのとある地方でのみ、自然にある酵母を使ったランビックというビールが造られています。
そのランビックにサクランボを漬け込んだビールが「クリーク」です。
グラスに注いだ時の深紅のビールを見ると、たいていの人は「これ、ビールなの??」と驚きます。
味わいもビールとスパークリングワインの中間のような甘酸っぱさと苦味が交じり合った魅力的なもので、女性が初めて楽しむクラフトビールにオススメです。
代表的なものはベルギーの「ベルビュー・クリーク」、「ブーン・クリーク」など。
ベルジャン・ストロング・エール (Belgian Strong Ale)
伝統的なビールの一つですが、明確な定義があるのかないのか、、、とにかくベルギー発祥のアルコール度数が強いビールはだいたいこう呼ばれている気がします。
アルコール度数は8~12%ぐらいの物が多く、甘みと辛味、スパイシーさとホッピーな苦味、全部が上手に調和された感じの不思議なビールです。
これこそ「えっ、これビールなの!?」と、今でも思いますw
代表的なものは、ベルギーの「デリリウム・トレーメンス」、「ヒューガルデン・禁断の果実」など。
バーレイワイン (Barley Wine)
「麦を使ったワイン」という名の通り、非常に芳醇かつ濃厚なビールです。
多くは麦芽とホップ以外の原材料を使われていません。
それでここまでのキャラクターが出るんだから、クラフトビールって本当に奥深いなと感心させられます。
アルコール度数は8~12%と寝酒にもピッタリwで、チョコレートでもかじりながらチビチビ飲むのが最高です。
代表的なものはアメリカの「アンカー・オールドフォグホーン」、日本の「サンクトガーレン・エルディアブロ」など。なかなか見かけませんね。
おわりに
クラフトビールの種類は年々増えていて、今では100種類以上のスタイルがあると言われています。
ビールはワインと違って自然の産物ではないので、醸造家の発想次第でいくらでも面白くて新しいものが生み出せるんですね。
例えば近年ではカリフォルニアのセッションIPAというスタイルが、ライトビール×IPAという組み合わせですごく魅力的です。
ピッツァポートという醸造所の「ポント」というセッションIPAのタップを頂いた時には震えましたw
今回はアルコール度数から代表的なスタイルまでの簡単な選び方基準をまとめましたが、こういうの読んだだけじゃ正直わかんないと思います。
なので、実際に興味が沸いたものから飲んでいって、「あ、アメリカのビールってこういうことね!」とかを体感していくと早いですね。
ちなみに僕は藤原ヒロユキさんの「知識ゼロからのビール入門」という本から勉強しました。
少し古い本ですが、クラフトビールについての造詣は深まります。
とてもわかりやすくてオススメです。
2022/09/29