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ネット時代に負けた家電量販店の裏で働いていた時に肌で感じたこと

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      2019/12/12

家電量販店がネットに顧客を取られてダメージを受けているという話を聞いてから、もう何年も経っています。

僕も基本的にはネットで家電を買ってしまうし、
現地に観に行くことはあっても「より良いものを」「よりお得に」と思うと、その場で買う事はしなくなった。

店頭で店員をネチネチ舐って、他店よりも1円でも安く買うなんてのは、もはや古い時代の買い方なんだろうなと思います。
※ネットがなかったころはそれが楽しみだった人もいるんだろうけどね。

ただ、ネットで家電の価格が簡単に比較できるようになってしまった事だけが、
彼らの首を絞める事に繋がったのではないのではないかとも思います。

これは家電会社の在り方というか、体質というか、
それこそ時代に合わせたやり方を出来なかった事が問題なんじゃないかということです。

ネット時代に負けた家電量販店の裏で感じたこと

僕は20代の前半の頃に、大手家電量販店のネットショップの中の人として働いていました。

当時、まだまだ大手家電量販店のネットショップというものはメジャーでなく、
ネットショップはネットショップ、実店舗は実店舗という住み分けがされていた時代だったように思います。

そんな中、僕がいた大手家電量販店は、
ネットショップもあり、全国に実店舗も構えるようなお店でした。

全体の利益ではなく、個々の利益を追った行く末

当時の僕の業務は、ネットショップで受注したアイテムについて、
ネットショップで在庫を抱えているものはそのまま発送処理にまわし、
在庫がないものは全国にある実店舗から取り寄せて発送するという処理を行うことでした。

これはその企業全体で考えればすごく合理的で、
田舎の「来店数が少ない店舗」で抱えている動かない在庫が、ネットショップなら簡単に売れる、みたいな事が普通に起きていました。

動かない在庫を抱える事は本当に意味がないことで、
特に家電のようにシーズンごとに新作が出るようなものは、そのシーズン内に売り切ってこそだと思うんですね。

なのに僕が地方店舗に在庫移動の依頼(当時は電話で)をすると、

「ネットショップさんの為に取っておいた在庫じゃないねすけどねえ!」

なんて嫌味を言われたものです。
おそらくその店舗の人からすれば、商品の仕入れと販売はその店舗で完結する事だったんでしょう。

企業全体の売り上げが伸びてこそ、各店舗が存在できるはずなのに、
企業全体の売り上げというのはその店舗の直接の利益には繋がりませんから、
つまりはその担当部署、店長の評価に繋がらないというわけ。

彼からしたら他所の部署(ネットショップ)の利益の為になぜ自分が貢献しなければならないの?という想いだったんだろうなと思います。

問題は、そういう仕組みをつくってしまった会社にあるわけで、
ネットショップに流せる在庫を持っていた店舗は、流した在庫数に応じて評価する等にしていたら良かったんだろうなと。

ネットショップ側では各店舗からのそういった妨害もあり、
ネット上で「在庫がある」と思って購入したお客に商品を即日発送できないなどが頻発。
結果、顧客満足度の低下にも繋がっただろうなと思います。

ネットとリアル店舗の融合がなかった

上述の通り、その家電量販店ではネットと実店舗を両方備えていながら、
その融合がなかったのがいけなかったのではないかと思います。

今でこそネットと実店舗でのポイントを統一するなど、
全体としてのその企業の売り上げアップを図っている量販店が増えているとは思いますが、
今そうなっているところも、最近までは「ネットはネット」という形だった。

結局は顧客側の目線ではなく、企業の都合によって分けるからそうなるんですよね。

顧客としては同じ量販店で買い物をしているつもりなんだけど、
企業としては「その店舗で貯めたポイントをうちで使われると(評価的に)困る」というような状態だったんだろうなと。

何もポイントだけの話じゃなくて、
実店舗を構える量販店だからこそ出来るサービスとか、アフターケアとか、
そういった部分をネットでももっと伝えていく事や、コンテンツ展開をするとか、
要するにもっと「ネットをハブ化する」方法があったんじゃないかと。

そうなったらそうなったで、ネットショップのスタッフのモチベーションが下がりがちになりそうな気もするけれど、すべてを包括した上での評価制度が作られたら違ったんじゃないでしょうか。

おわりに

結局、実店舗とネットショップ、または実店舗同士でいがみ合っていたようなその量販店は、
実店舗を次々と閉店、ネットショップも閉鎖、他社に経営統合されるなどの末路をたどりました。

もちろん当時の家電量販店の事情をすべて知るわけじゃないし、
いくらネットをハブ化してもダメなもんはダメだっただろうけれど、
実際に働いていた僕が肌で感じたのはこういった事でした、というお話です。

   

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      2019/12/12

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