「ナナとカオル」の感想。これは100年先まで残したい幼馴染系胸キュン青春ラブコメだ!
2023/08/08
・・・いやー、、、ひさびさに出会ってしまいました。。。
胸の奥を鷲掴みにされて、現実世界に帰れなくさせられる感じの漫画に。
甘詰留太先生の「ナナとカオル」です。
2008年~2016年までヤングアニマル(と嵐)で連載されていた漫画で、映画化までされていた人気作品だったんですね。
今の今まで知らなかったことをとても悔しく感じております。クッソォ・・・!!!!
LINEマンガで始まった同作者の作品から偶然その存在を知ってしまい・・・すでに1週間以上、その世界から抜け出せていません。
なのでここらで一旦吐き出しておかないと日常生活に支障をきたす(「漫画の世界 入る方法」とか検索しかねない)と思いまして「ナナとカオルを読んだ感想」を書かせて頂こうと思った次第であります。
ナナとカオルってどんなお話?
ナナとカオルについて調べると「ステップアップSMラブコメディ」という一文が出てきてしまい、おそらくはこの時点で多くの人が「うわぁ」と離脱してしまうのではないかと思われます。
・・・が!
もうね、これは作者先生が作品に(売れるための)キャラ付けをしたものであって、その実は「純愛ラブコメ」でした。
僕ねえ・・・年甲斐もなく、ラブコメ漫画が好きなんです。
しかも、甘くて切ない思いをさせてくれるやつが。
ナナとカオル・・・切ないよ♡
あらすじ的なの
高校二年生の主人公 杉村薫(カオル)は幼馴染の隣人 千草奈々(ナナ)に対して歪な恋愛感情を持っている。
美人で優等生になってしまったナナに距離をおくようになり、いつしか「ナナにボンデージを着せて調教する」という妄想を抱くようになっていたのだ。
ある日、カオルの母から預かっていたボンデージ(カオルの私物)を好奇心から着てしまい、脱げなくなってしまったナナ。
果たしてカオルの前には本当のボンデージ衣装のナナが姿を現し、二人の秘密の時間・・・”息抜き”が始まるのであった。
SMはツールに過ぎない
・・・と、こんなあらすじを聞いてしまうと「エロい話じゃん」って思うんですよ。
しかも普通のエロじゃなくて「SM」ですからね・・・ちょっとアブノーマルな(っていうと性差別になっちゃうかな・・・?)エロを想像すると思います。
でも僕は声を大にして言いたい。
SMはこの作品を読ませるためのツールに過ぎない
と。
世の中には星の数ほどのラブコメがあるわけで、そこにただ普通のラブコメを放り込んだところで誰にも読んでもらえない可能性が高いです。
それを作者の甘詰先生はSMというツールを使うことで、作品にキャッチーな導入部を持たせたわけなんですね!(たぶん)
ナナとカオルにSMは必要ないのか?
ではナナとカオルという作品においてSMが必要ないのか?というと・・・すごく難しいところで。
僕なんかはもう、どっちかっていうと二人の”日常”が観てみたいという想いに駆られております。
でもそれは作品を一通り読んだからこそ言えることであって、カオルとナナがあの領域に行きつくためには、また僕らがそこまで彼らを見守ることが出来たのは、やっぱりあのソフトなSM行為があったからこそと言えるでしょう。
なのでまぁ、作品にとっては必要な要素だったんだろうなぁ。
おそらくは彼らの未来にも、(いつまで続くかはわからないにせよ)SMという行為は必要なのかもしれません。
ステップアップSMラブコメの意味
「ステップアップSMラブコメディ」・・・このコピーを考えたのが甘詰先生なのか、はたまた出版社側の人なのかはわかりませんが・・・これは読む前と読んだあとで印象が変わる絶妙なコピーだと思いました。
これだけ聞くと「ははぁ、どんどんSMがハードになっていく漫画なのか」とイメージする人も多いのではないでしょうか。
前述したとおり、ここで離脱してしまう未読ユーザーもいると思います。本当にもったいない。
※僕は幸運にもこのコピーを観ずして読み始めたので、ほとんど抵抗なく最後まで読むことができましたが。
でも、最後まで読んでみると「ステップアップ」するのはSMの内容じゃないってことに気づかされるんですね。(後述します)
この辺の仕組みが非常にロジカルというか・・・まんまとナナ、そしてカオルに感情移入させられてしまう仕掛けになっているわけです。
(そして日常に抜け出せなくなるという。。。)
・・・・・・エロいよ♡
もう一つ、この作品を紹介する際に使われるキャッチで「エロいよ♡」というものがあります。
実は僕、このキャッチってあんまり好きじゃないんですよねえ・・・。
あの、誤解のないように言っておくと、エロいんですよ。
とってもエロい。
と言っても主人公たちが高校生ということもあってか、当人たちの直接な性行為の描写はないんです。
ヒロインがSM衣装を着させられても、一線はちゃんと守られています。
それなのになぜか無茶苦茶にエロい。
今までに見たどんなエロ作品よりエロいんじゃないかってぐらいにはエロかったかもしれないです。
さすが・・・そこは作者先生がアダルト作品出身というキャリアによるところでしょうか?
男性にとってのじれったい感じのエロさみたいなのがふんだんに溢れている作品だと言えます。
・・・・・・が!!!!!
違うんですよ。
この作品の本質って、そこじゃないと思うんです・・・。
もちろん作者先生も出版社側も「エロい作品」として売り出したかったのかもしれないけれど、少なくとも僕の心を鷲掴みにしてしまったのはそこじゃなかった。
もっとこう・・・なんていうか、、、すごい甘酸っぱい切なさというか。。。
ただエロいだけの作品だったらこんなにも心を持っていかれることはなかっただろうと思うのです。
※そういう属性ゆえに、人に薦めたくとも薦めづらい・・・そんな作品なのかも。
映画化までした人気作
ちなみに、僕は2020年になって初めてこの作品を知ったのですが・・・もともとは2008年からスタートしており、当時から人気作品だったそう。
なんだったら実写映画化もされていたみたいで、相当な人気だったことがわかります。
2018年からは白泉社の電子コミック「ハレム」にて正式な続編の連載がスタートしました。
なんとなくですが、この「ナナとカオル」の続編連載も「ハレム」という雑誌を創刊するにあたっての客寄せパンダとして使われたのではないでしょうか??
それだけ人気があった作品ということなんですよきっと。
ただ・・・2016年に本編が最終回を迎えた際には作者先生のトークイベントなんかもあったそうなのですが、なんだか調べてもあんまり当時の情報って出てこないんですよね・・・。
やっぱり「人に薦めたくとも薦めづらい」みたいなのがあったのかな・・・?
※それか「自分だけのものにしておきたい」とかだったか。
読んだ感想などダラダラと
さて・・・!
ここまで「こんな作品だよー」というのを長々と綴ってきましたが、ここからはネタバレ含みつつ「感想」を書いていきたいと思います。
現代版めぞん一刻だよこれは!
僕はこの作品を最初に読んだ時、なぜか「めぞん一刻」を読了した時の感覚を思い出しました。
なんだろうなぁ・・・作品自体は全然違うんだけど、読み終わったあとの胸を締め付けられる感じ、何回も読みなおしたくなる感じというのがすごく似てたというか。
めぞん一刻は学生時代にアホほど読み直して、社会人になって結婚してからも何度も周回読みをしてしまった作品なんでして、ナナとカオルもそうなるんじゃないかっていう不安があります。
・・・なんでなんだろうなぁ?
もしかしたらナナに音無響子を重ねてしまっている部分があるのかも?
そういえば二人とも苗字が「千草」だし・・・。(響子さんは旧姓だけど)
体型(ずん胴)とか髪型、顔つきも近しいものがあるのかしら。
※追記:「主人公にとっての憧れの女性が、自分の気持ちに気づかないふりをしてヤキモチを焼いたりしている仕草」にるーみっく的な共通点を見出したのかもしれない。
(それがラブコメの王道ではあるんだけれどw)
ナナは男にとって都合の良いヒロイン
この手の作品って、読者がいかに主人公へ感情移入できるか、ヒロインに惚れることができるか、みたいなのって重要だと思うんですけど・・・控えめに言ってナナちゃんに惚れない男なんていないと思うんですよね。
だって学校で一番ぐらいの美貌を持ってて、ものすごくグラマラスな体型をしてて、運動部のエースで、生徒会副会長で、頑張り屋で・・・。
いわゆる「才色兼備」なわけですよ。
※この子がMに興じるというギャップがこの作品のエロさを際立たせるんでしょうね~・・・!
ただそれだけだと「憧れ」以上の存在にはならないわけで。
千草奈々には「料理ができない」「しいたけが嫌い」「性格がキツめ」「たまに頭のネジが抜けてる(押しに弱すぎる)」みたいな弱点も用意されているのです。
それでいて「好きな人がいない」という設定で、でもウブなネンネっていうわけでもなくて・・・(腹上死の意味も知ってるというw)
性知識みたいなものにも興味があって、適度にだらしないエロさがあって。
で!
主人公の内面的なところにちゃんと気づいてあげることができて・・・って、
こんな子いるわけないじゃん!
いるわけないんですよ。
こんな子いたらもう完璧だもん。
・・・しかも、それでいて「隣人(部屋が隣同士)」でしょ?
漫画「タッチ」の距離をさらに縮めているわけで・・・本当に都合が良すぎる。(だがそれがいい)
そんな”男性読者にとって都合が良すぎる完ぺきな子”が、初めての(?)恋に目覚めていく様を見せつけられるわけですから・・・そりゃ応援したくなりますし、惚れてしまうわけです。(だからどっぷりハマっちゃう)
※でも完結記念のトークイベントでは女性ファンが多かったそう。
周回にはカオルが愛しくて仕方なくなるw
ナナカオって、たぶん導入時には「ナナちゃん可愛い」「館さん可愛い」みたいなところから入るんだと思うんです。
少なくとも僕はそうでした。
・・・が!!
二周、三周と読むうちに・・・「カオルかわええ・・・」ってなっちゃった、っていう。。
なんだろう、あんなカエル顔のキモいヤツ・・・言動も過去の自分を見ているようでなんだか恥ずかしい感じだったのに。
いつのまにか「カオル頑張れ!!幸せになれ!!」って思わせられちゃったんだよなぁ・・・。
(カオルが幸せだと僕も嬉しい、みたいな)
やっぱあれか。点助のお師匠や更科先生みたいに、僕もオッサンだからカオルにやられたのかなw
・・・最終的にはカオルが普通に「カッコいいヤツ」に見えちゃったりするから不思議なんだこれが。
屈指のエピソードは・・・
ナナカオ本編での屈指のエピソードと言ったら・・・物凄く悩むけど、やっぱり6巻収録の「初詣でTAKE2」ですかね~。
SM要素少な目で、ナナとカオルのイチャイチャが見られて。
日常シーンにおいてカオルに「キレイ」と言われて照れまくるナナとか・・・可愛すぎる。
そして何より神社にお願いごとをするナナを見つめて「神様・・・ナナの願い事全ッ部叶えてやって下さい オレも・・・できるだけ頑張るから」っていうカオルの心の声!!
これも周回で読むとなんかすごく目頭が熱くなる感じでした。
まぁそのあとですぐ「一つ穴の首輪」の話になってナナちゃんは舌をぺろっとさせちゃうんだけれども。
ああ、うん。やっぱりSM要素がなきゃダメなんだこの漫画は。
あとはあれです。後半の、カオルが沖縄に行っちゃった「高校3年生の青い春」で、館さんが「ナナは頭いいけどバカだなァ」っていうところね。(14巻)
そこでナナにナナ自身の気持ちを気づかせてあげる、あのエピソードもすんごい良かったなぁ。。。
なんか、登場人物が基本的に優しいんですよね。
ラストイヤー(ハレムで連載しているやつ)でナナがユカリに「AさんとBくんの話」を打ち明けるところとかも、結局はユカリの優しさが出てたし。
あー、ラストイヤーで言ったらその前の、ナナがカオルを「絶対に逃がさない」と決意するシーンもえがった。。。(いずれもラストイヤー2巻)
もうあれだ、全部全部いいお話や。。。
(学校の先生とその彼氏君の話はどうでもよかったけど・・・)
ブラックレーベルが示した未来
ナナとカオルの外伝的なお話として用意されたものに「ナナとカオル Black Label」という作品もあります。
これは本編における未来(高校三年生の夏)が描かれているもので、全5巻で完結しました。
そんなブラックレーベルの後半(4巻)で、カオルが尊敬する更科先生との会話に
「愛を告白してもSMは続けられるのか、関係性が崩れるのか」
という問いがありました。
それに対して更科先生の出した答えは「崩れるだろうな」というものだったものの、それそのものは「手段」であり、「お互いの関係が変化すれば手段も変化していく」としつつ、(ここからはパートナーである橘さんの言葉を借りるなら)「ただ目と目が合うこと」すらも日常と地続きの「非日常」である、と結論付けられていた・・・と思います。
端的に言えば「SMプレイはやらなくなるかもだけど、日常もすべて、広い意味で考えたらSMやで」ってこと。
カオルはその時「ナナとSMが続けられなくなる」ということに少なからずショックを受けていたようですが、であればこそ、「肉体的なSM関係のないナナとカオルの未来」を我々読者は期待しても良いのでしょうか!?
僕はそうであって欲しいと思うのです。
ナナにしてみたら本当に”息抜き”がそのスタートラインで、「カオルはこういうのが好きそうだから利用してやろう」という気持ちだったのが、SMを通じて「カオルが好き」という気持ちに、そして好きな相手を尊重するという「愛」のようなフェーズへとステップアップしたわけですよ。
カオルもカオルで、手が届かなくなってしまった(と思い込んでいた)ナナに対して、歪な愛情の捌け口として触れたSMだったわけですが、やっぱりそれを通じて自分の想いに気づき、劣等感を克服すべく努力できる人間にステップアップしていきました。
二人がさらなるステップアップを踏めるのであれば、その時にはもう肉体的なSM関係は必要ないですよね・・・?
むしろ日常の、お互いがお互いを思いやることでのSMというところにたどり着いた未来を見てみたい。
甘詰先生にはラストイヤーが終わったあとでぜひ、そんな日常譚も描いてほしいです。
(最悪、スナップショットとかでもいいから、二人の”ゾクゾクしない未来”を見せて欲しいなァ、、、)
逆に・・・関係性の変化によって気持ちが冷めてしまうなんてこともあるわけで。
※カオルもナナもそれは十分意識しているし・・・。
今のSM関係がなくなってしまうことで、単純に二人には別れが来てしまうのだとしても何らおかしな話ではないんですよねえ。。
ぐああ・・・もしそうなるのだったら、二人が幸せな今のうちに読むのを辞めておいた方が正解かもなぁ・・・。ふんぎぎぎ。
おわりに
あああ、だめだ。
もう永遠にいくらでも書いていられそうなので、ここらで終わりにしておきます。
とにかく、そんなすげー作品に出会っちゃったよ、ってお話でした。
上でも触れてますけど、2018年からはハレムという電子書籍で続編が続いているんですよ。
月1連載で既刊2巻なのですが、もうこれも18巻ぐらいまで続けてほしい!
ほら、旧シリーズの方もたかだか数か月の話を9年も続けてくれたんだし・・・ラストイヤーだって何巻でも行けますよねっ!ねっ!?
※それか「かぼちゃワイン」みたいにずっと続編だしたらええねん
ほんと・・・旧シリーズは終わるまで知ることが出来なかったけど、新シリーズはリアルタイムで触れられてよかったです。
なんか生きる気力になりそう。
もうね・・・このパッションをどうにか形にしたいので気持ち悪いファンサイトでも作ろうかな・・・ってぐらい(今さら)
※でもここで吐き出してだいぶすっきりした。
こんな面白い作品を世に生み出してくれて、ありがとう甘詰先生。ありがとうホワイトファウンテン。
2023/08/08
Comment
スゲー古いですけど、桂正和先生の「電影少女」(ビデオガール)はかけたよさんも見たことあるんじゃないかな?
あたしがまだド○テイだった頃のバイブルよ
大人になってから全巻揃えて読み直したんですけど、、うん、時代背景は置いといて、大人が読んでも共感出来る部分が多々あってウフーン ウフーンって悶えちゃったww
それで女子の心の機微を学んだんですなぁナツカシヤ~
西野七瀬さん主演でちょい前にドラマ化されてましたね
ウーンだったけど(-_-;)
登場人物では信子ちゃんが好きだったなぁw
基本年上好きのKKにはこんな可愛らしい後輩女子を意識することってなかったからね!
あまりにも暇をもて余す際はご一読くだされ
ロードランナーK.K.さん
コメントありがとうございます!
ああっ、ビデオガール忘れてました。
実家に全巻ありますwww
たしかにあれも当時は半端ない胸キュンだったなぁ・・・
特にアイちゃんが別人になっちゃうところとか、、、
>大人になってから
あの、胸キュンものも、その年代ごとに感じ方って違うと思うんですよね。
たぶん今回紹介した「ナナとカオル」も(全年齢対象商品ではあるんだけど)若いころに読んでたらこんなに胸キュンしなかったんじゃないかと思います。
問題なのは、大人になってからキュンキュンして悶えても、漫画の世界には入れないし、若いころには戻れないし・・・戻ったとしてもこんな幼馴染なんていなかったし、、、人生って無情ですよ!!!
>こんな可愛らしい後輩女子を意識することって
そうでしたかw
僕はむしろ後輩女子にばっかりちょっかいだそうとして、うまくいかずにウフーンってなってました^^;