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あげくの果てのカノンを読んだ感想!!

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      2023/08/08

米代恭先生が2015年から2018年に月刊!スピリッツで連載されていた漫画「あげくの果てのカノン」を読了しました。

2年おきぐらいに同じ小学館の漫画アプリ「マンガワン」で全話解放がされているようで・・・僕も今回をそれを利用させて頂いた次第です。

この漫画は「大ヒット不倫SF」とかいう煽り文句で掲載されていたと思うんですが、(今観たら「SF×ラブストーリー」になってたので僕の見間違いかも)個人的には「不倫作品」という印象よりも「恋ってこういうことだよな!!」と感じる作品でした。

近未来の東京・永田町を舞台にしたSF作品・・・という皮を被った不倫、いや純愛ラブストーリーです。

もちろん「不倫漫画」であることに違いはないですし、そうした不貞行為を良しとするわけではないのだけれども・・・見事に甘酸っぱい感じに仕上げてあって、、、誰も幸せにならないのに読了感ハンパなかったなと。

そんな「あげくの果てのカノン」を読んだ感想です。

ふたりの恋は「不倫」なのか?

主人公「高月カノン」は学生時代に一度振られていながらも想い続けている「先輩」がいて、社会人になってから偶然(?)再開し、その恋が成就していく・・・とかいうと、ただの不倫作品だと思います。

ここに「8年間片思いを続けている」という主人公の異常性と、SF要素として存在する地球外生命体である「ゼリー」、そんなゼリーと戦うことで欠損した部分を「修繕」し、半永久の命を手に入れた代わりに自分が自分でなくなっていく感覚にさらされている先輩・・・という設定が追加されることで独特の作品に仕上がっているのです。

学生時代からの想いが変わらないカノンと、修繕の影響で心変わりをしてしまう先輩。

ふたりの恋は果たして「不倫」なのだろうか??

カノンは異常なほどに「想い続けていただけ」なのだ

カノンは先輩に学生時代から恋人がいたことを知っているし、「届かない存在である」ということを理解したうえで勝手に想い続けているだけ。

その証拠にカノンは先輩を奥さんから略奪しようだなどとは考えてはおらず、彼の幸せを壊したいとも思っていないのです。
(願わくば、自分がその奥さんの立場だったなら・・・と思うことはあった模様)

異性に恋い焦がれることは決して悪いことではないはずです。
たとえその相手が妻帯者だったとしても想い続けるだけならば咎められる理由にはならないでしょう。
(気持ち悪いとかはさておき)

作中ではたまたま環境が悪く、自分が想い続けるが故に周りの人が勝手に不幸になっていってしまいました。
でもこれは果たして「カノンの罪」なのでしょうか。

僕には自分を物語の悪者にしてまで18年間も一人の人を想い続けられること、それがたとえ友達や家族を踏み台にしていたとしてもその想いを大切にしていたこと自体はとても美しく感じられてしまったのです。

心変わりは罪なのか?

一方先輩はというと、愛する奥さんがいながらも「心変わり」を理由にカノンに近づいてしまいます。

それが自分の意思によるものなのか、ゼリーの修繕による影響なのかはわかりません。(作品では明かされませんでした。)
ただ、いずれにせよ人間なら誰しも「心変わり」をする可能性はあるはずです。

むしろなぜ、カノンのように「見たことも体験したこともない将来のことを現時点で確定できるのか??」という方が疑問で。
現時点の感情が永遠に続く・・・ということは夢物語に過ぎないのではないかとさえ思います。

なので「心変わり」自体は罪ではない、と僕は断言したい。

ただし、普通は「心変わり」を免罪符に不倫しようなどという発想には至らないというか・・・自分が過去にした約束や責任を元にグッと堪えるであろうはずなので、先輩が行った行為そのものは(カノンとの肉体関係こそないものの)「罪」であり、やっぱり不倫に違いないのだろうと思います。

似た誰かではダメなのだ

個人的に唸ってしまったのが「松木平くん」のエピソード。
これが秀逸でした。

松木平くんは「顔は先輩にそっくり」「カノンに想いを寄せている」「妻帯者ではない(恋人もいない)」という、超便利なキャラでw

論理的に考えれば、カノンと松木平くんが結ばれることで全てがまーるく収まるというか。
カノンは先輩みたいな人と付き合えるわけだし、先輩は不倫しなくて済むわけだし(するだろうけど)、一瞬「えっ・・・こんな便利なキャラいる?こいつとくっつくん!?」と読者を不安にさせたのです。

これがまさしく恋である!

でも結局カノンは松木平くんを選ぶことはなく、「顔は先輩にそっくり(そのもの)」「かのんに想いを寄せている(心変わりはするかもしれない)」「妻帯者である」という先輩に固執することに。

これはまさしく恋そのものだよなと。

恋している時はもう「似ている誰か」でその穴が埋まることはないんですよね。
(それで埋めるような時点で相手に失礼ですしw)

どういう理由なのかはわからないけれど、たとえ顔や性格が変わってしまったとしても、その人でなければダメ・・・という感覚に陥るわけです。
・・・どう考えても自分が不利だし、なんていうかハナから無理ゲーなのに。

ただ、この非合理的な感情は、恋をしたことがある人なら共感できる部分だったのではないかと!?

カノンの恋が世界を壊したのか?

マンガワンのキャッチでも「彼女の”恋”は世界を壊す!?」と煽られていましたが・・・果たしてカノンが恋をしたせいで世界が壊れてしまったのだろうか??

コメント欄でもカノンや先輩を悪者に仕立て上げるヘイトが集まっていた印象がありましたが・・・僕はこれで世界が壊れてしまうとしてもそれは「結果論」に過ぎないのではないかと思います。

だって、不倫された悲しみを理由に、危険な地球外生命体を街に放ったのは先輩の奥さんですからね。カノンではない。

カノンの友達の家がその地球外生命体に破壊されたのだって、作中では「元を辿ればカノンが悪い」というような描写がされていましたけど、実際に破壊したのはゼリーですから、、、

まぁ、カノンの選択が「トリガー」になっていたかもしれないけれど・・・そんなのってわかんないじゃん。
誰が「不倫したら相手の奥さんが街を一個潰そうとする」なんて予想できますか!?

というか・・・あくまでわかりやすいトリガーがソレだっただけで、カノンや先輩をそういう状況に持ち込んだ諸々の要因というのがあるわけでしょ。
「元を辿れば・・・」みたいな話になってくると、結局誰が悪いのか?なんて特定ができないんですよね。

だから僕はカノンには自分を人生の悪役になんて押し込めないで、もっと自信を持って先輩を好きでい続けてくれて良かったんじゃないか・・・なんて思いました。

だって、結局騒動から10年経って、先輩の奥さんは支えてくれた「他の誰か」と再婚できたんですよ。
一方カノンは18年間も先輩を想い続けたわけですからね・・・。

続きが読みたくなる読了感

Wikipediaなんかにも掲載されているとおり、最終回に向けてカノンは「先輩に物理的に会わない場所で暮らす」という選択をします。

で、10年会わないことで「時が解決してくれる」と自分に言い聞かせ、周りにももう「先輩のことは乗り越えた」かのように振舞っていました。

が・・・!
やっぱり「時が解決してくれる」なんてことは(少なくともカノンには)なかったわけで。

しっかり18年感想い続けた結果、褪せることのない感情でまた先輩と対峙することができた(または先輩に感情を呼び戻された)ところで物語が終わります。

これがもう秀逸で、、、
二人のその後が読みたくて読みたくて仕方ないというか・・・わしゃもう抜け出せんのじゃあの世界から。

きっとカノンのことだから、一緒に成功させてきたケーキ屋も友人も、パティシエとしての幸せなんかも全部放り出してでもまた先輩という沼におぼれていくんだろうなぁ~!!って。

おわりに

というわけで、あげくの果てのカノン・・・すごい作品でした。

「主人公に感情移入できない」というコメントも多く見て、「たしかにすごく異常だからなぁ・・・」なんて考えたりもしましたが、いやはやどうして。
恋をしたら多かれ少なかれ、あんな感じでしょう?

カノンが誰よりもピュアだった・・・というだけで。

・・・かといって、繰り返しになりますが、僕も不倫を良しとしたいわけじゃないですからね。
やっぱカノンに期待させてしまった先輩はクズだったんだろうなぁ~。

・・・ところで「不倫」の定義ってなんなんでしょうね。

先輩とカノンは(作中においては)肉体関係にはありません。
(あ、厳密には唇を重ねているからダウトですがw)

もしそういう不貞行為が一切なかったとして・・・じゃあ先輩が心変わりをした時点、はたまたケーキ屋に「カノンに会うために」通い続けた時点では「不倫」なのだろうか??

それとも一線を越えるか超えないかが「不倫か否か」を決めるのだろうか???

妻帯者が、はたまた妻帯者に、憧れを持ってしまうことがそもそも不倫なのか?
たとえばテレビで俳優さんを見て「はぁ~かっこええわぁ~」となってしまったら・・・その感情自体は罪ではないのか???

などなど考えさせられましたな!

全5巻っていうボリューム感もちょうどいいのよね、、、

米代先生素敵な漫画をありがとう・・・。

   

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      2023/08/08

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