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「さよなら絵梨」がすごい!!何度も読みたくなる、まるで映画な200P読み切り漫画…!【藤本タツキ先生】

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      2023/08/08

画像は「さよなら絵梨」(藤本タツキ 集英社)より

ジャンプ+に掲載されていた、藤本タツキ先生の長編読み切り「さよなら絵梨」を読みました。

https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496858728104

これはやべえ・・・すごい!!!!

もともと藤本タツキ先生はファイアパンチとかチェンソーマンとかで天才天才騒がれてましたけども・・・マジで度肝を抜かれました。。。

ある種の叙述トリックですねこの作品は。
一回目と二回目で全然感想が違ってくるかもしれない。

叙述トリックをわかりやすく説明してみる&僕が読んだ叙述トリック作品まとめ

あの、僕はこのあとで壮大なネタバレありの感想を書いてしまうと思うので・・・未読の方は是非↑のジャンプ+のリンク(表示されていれば・・・!)より見てきてください。
今月中(2022年4月)は読み返し無料でいけますので!!!

映画館で観たかった!!!!!

いやー、すごかったですね。みました??

なんていうか・・・「この糞映画、映画館で観たかった!」って感じませんでした?

藤本先生はもともと映画大好きらしいので、もしかしたらこれを本当は映画でやりたかったのかもしれない・・・って思えるぐらい、映画一本観たような気持ちにさせられました。

あー、でも違うな。
これきっと映画で観たら本当にただの糞映画だっただろうなw

漫画であるが故のトリックというか・・・この映画みたいなお話を漫画でやることの意味はそこにあったのかもしれません。

一応解説(ネタバレあり)

一応みんな一通り漫画は読んだという前提で、どんなお話だったのか解説(?)します。
※と言っても僕がそう思ったというだけで、ただしい解釈なのかはわかりませんが、、、

これ、つまりは「全編が創作」なんですよね。
優太という登場人物を主人公にした、ドキュメンタリー風映画・・・ということ。

だからお母さんは死んじゃいないし、優太に暴力もふるってない。
絵梨も吸血鬼なんかじゃありませんw

全員そういう役を演じているわけですな。

なんだったら優太も中学生時代と大人で演者が違うんでしょう。
この辺は漫画故のトリックって感じですね~。

映画では成り立たなかった

上でも書いたとおり、200ページまで読み終わったあとで僕は「騙された!」と思ったと同時に「映画で観たかった!!」となりました。

・・・が!
一見「映画として成立しそう」なこの作品なんですが、たぶん映画だったら成り立ってなかったと思うんです。

というのも、映画だと僕らはそれを「作品」として見てしまうわけで、そこにリアリティを感じないというか。
どこかしら「作られたもの」という想いを持ちながら俯瞰して観てしまったのではないかと。

※完全に「ドキュメンタリー」と銘打たれての作品だったらまた違ったかもだけど。

一方漫画っていうのは、どう考えてもそれ自体はリアルではないのに、その世界に身を委ねてしまうところがあるというか・・・。
「どこからどこまでが現実で、どこからが虚構なんだろう?」というのを考える余地があるというか。

そういう隙をついてのトリックだったため、やっぱり漫画じゃなければ成り立たなかったんだろうなーと。

劇中劇の劇中劇の劇中劇

そのトリックをうまく働かせたのは物語が三層構造ぐらいになっていたことだと思います。

まずはこの作品全体の「絵梨がバンパイアである」という世界線のレイヤーがあって。
その中には「絵梨と作ったドキュメンタリー映画」というレイヤーがあって、さらにその中に「母親の最期を撮るドキュメンタリー」というレイヤーがある感じですかね。

最下層レイヤーにいる母親は綺麗で優しくて。
でもその外のレイヤーにいる母親は、本当は暴力をふるうような傲慢な人で。

同レイヤーにいる絵梨は優太の良き理解者で、美しく儚く死んでしまって。
だけどその外のレイヤーの絵梨は実はメガネをかけて歯列矯正をしているという作中とは違った容姿で、すぐキレて自己中で。。。

でもそれらはすべて吸血鬼の絵梨がいる世界での創作で、それを俯瞰して観ている僕らがいる・・・という。
※全編通してカメラがブレてる描写があったのも「これは全部が『さよなら絵梨』っていう映画なんやでー」ってことだったわけですな。

どことなく、話の切り取り方なども含めて奇才クリストファー・ノーラン氏の「インセプション」の世界を観ているような感覚がありました。

ゆえに、初回観ている時は「これはどういうことなの・・・?」というシーンがあるんですけど、二回目にはスッと腑に落ちるっていうね。

藤本タツキワールドw

最初の優太の作品・・・つまり母の死から逃げることで病院が爆発するっていうシーン。
一周目では「藤本タツキワールドwww」とか思いつつも、「まぁ・・・母親が死ぬことなんて到底受け入れられないよな、、、ラストはこうやって茶化したくなるよな」なんて感じたりもしたんですよ。

だから同級生たちが「糞映画」とか「なんで爆発させたのか」とか言うのを聞いて、僕は「ばーかばーか」って思ってました。
お前ら、産みの苦しみも知らない癖に、すぐに「糞映画、糞映画」言いやがって!!・・・と。

んで、物語を最後まで読んだ時・・・

このクソ映画ッ!!!時間返せ!!!!www」って叫んでしまった、っていうね。

そうか、ここまで含めて藤本タツキワールドだったんだな、、、
読者に登場人物と同じ体験をさせてくれるとか・・・すげえ。

おわりに

というわけで、藤本タツキ先生の「さよなら絵梨」を読んだ感想でした。いやー面白かった・・・。

どうしたらこんな作品考えつくの・・・?って思うんだけど、それこそ作中で示唆されてたように映画をめちゃくちゃにインプットして、それを分析して、そこに自分の尖った感性が乗せられたら・・・いや、できないだろうなぁ・・・。

やっぱそれが出来るからこその天才なんだろうな!
面白い作品をあざぁーーっした!!!!

※ファイアパンチもクッソ面白かったよね・・・。でもこの人、なぜジャンプなん・・・?w

   

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      2023/08/08

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