「血と灰の女王」が今一番面白い漫画なのに打ち切りになりそうな業界の闇について【裏サンデー・マンガワン】
2023/08/08
マンガワンというコミックアプリにて、いつも楽しくマンガを読ませて頂いています。
小学館系のウェブコミック、裏サンと同列にある当アプリですが、連載されているオリジナル漫画のクオリティが全体的に高く、「これ、無料で読ませちゃっていいの!?」ってレベルなんですよ。
中でも面白い作品のうちの一つに、バコハジメ先生の「血と灰の女王」があります。
もう本当に、めちゃくちゃ面白い。
誤解を恐れず言うなら、僕はこれ「現代版デビルマン」だと思ってます。
ほんと、陳腐な表現になってしまいますが・・・深いんですよ。
特に読者全員が「真の主人公なんじゃないか」と思っている(であろう)「京児」というキャラクター。
彼の表情を追っていくだけでも、ものすごく面白いです。
・・・もう、詳しくは読んでもらわないとわからないと思うし、ネタバレになるので書きませんがw
さて、そんな「血と灰の女王」が継続の窮地に立たされているそうです。
作者先生が連載のあとがきで懇願しちゃうほどヤバイみたい。
残り1ヵ月強で1巻が1000冊売れないと4巻で打ち切りと、編集さんに伝えられたんだとか・・・。
漫画自体は本当に「今一番面白いんじゃないか??」ってぐらい面白いんですよ。
なので未読の方はぜひぜひ騙されたと思って読んで欲しいです。
さて、本件についてちょっと思うところがあったので綴りたいと思います。
血と灰の女王、打ち切り騒動で思ったこと。
まだ打ち切りが決まったわけじゃないですが、どうなんでしょうねこれ。
おそらく作者先生が書いているとおり、「読んでる人は多いけれど売れていない」っていうのが事実で、「ものすごく面白いんだけど買うまでじゃない」となってしまっているのが現状なのかなといった気がします。
※なので「読んで面白いと思ってて、コミックスを『いつか買おう』と思っている人」はとりあえず投資しておくべきでしょう。
「買うまでじゃない」というのは作品が悪いとかそういうことじゃなくて・・・「いざとなりゃ無料で読み続けられるから」という心理が根底にあるのではないでしょうか。
こういうコミックアプリやウェブコミックの弱点が如実に出ているのかなと。
昔は雑誌を立ち読みして終わらせていたヤツがいたとしても、「前の話を読みたいな」と思った時には単行本を購入しなければいけなかったわけですよ。
そうした漫画ビジネスのサービス形態が徐々に変わっていき、今では「連載中の漫画は、読もうと思えばいつでも全話読める」みたいな位置に来てしまっています。
なんていうか・・・それが当たり前になりすぎてしまっているんですよね。
そういった状態でたとえ今回1000冊売れたところで、また同じ結果に陥るんじゃないか?という不安は拭えません。
要するに根本の解決を目指さなければ、単なる延命処置を施しただけ・・・とも考えられるのではないでしょうか。
っていうか、作者先生に言わせんなw
そして今回の件、コメント欄も結構荒れてました。
僕もかなり共感したのは「作者先生に言わせんな」ってこと。
マンガワンという媒体の運営会社がどういう規模、体制かは存じませんが、なぜクリエイターであるはずの作者先生がセールスおよびマーケティングまで請け負わなければならないのか・・・。
本来であれば「先生は執筆に集中してください!面白い作品を作ってくれたら俺らが売ってきますんで!!!!」っていうのが会社の役割なんじゃないですかね・・・。
現に漫画自体は面白いですし、支持者もたくさんいる状態。
そのうえで売れないんだとしたらどこに責任があるんだろう?みたいに勘繰ってしまいます。
もし小さな会社なんだったら個々に掛かる負担というのは大きくなるのは当然ですが、小学館ですもんね?
部署が小さいとかそういうことなのかなぁ・・・。
※作者先生と編集部との取り決めでどういうものがあったのかを知らない以上は憶測でしか語れませんが・・・。
PRも手を抜きすぎ・・・?
マンガワンの場合、コミックスが出るときにはそのPR漫画というものがアップされます。
他の作者さんのコメントを見る限り、編集部が漫画の切り貼りをして、セリフだけ編集してそのコミックスの宣伝に使うというものです。
特に「心が叫びたがっているんだ」とか「ケンガンアシュラ」のPRは秀逸でした。
※買いたいとなるかは別としてw
・・・が、なぜか「血と灰の女王」のPRはかなり手を抜かれてる印象があったんですよ!
なんだろう、この作者先生嫌われてんのかな・・・ってぐらいw
しかも、同誌の他マンガのように「お色気系の特典」を使って宣伝をしていて、かなり残念に感じた読者も多かったみたい。
これ、完全にターゲットを見誤ってると思うんですよね・・・。
この作品の熱心な読者がドミノのロリとかエロとか望んでないっすから・・・。
・・・まぁ、ターゲッティングに関してはただの僕の主観ですが。
それでももうちょっと力を入れても良かったんじゃないかなぁw
伊勢ともか先生の件もあるぞ
で、ふと思い出したんですが、最近打ち切りになった伊勢先生の「劫火の教典」・・・あれも担当編集さんがターゲティングに失敗した例だったんじゃないかなと。
そろそろ少年誌は「バトル物にしたら売れる」って考えを改めた方がいいと思うんですよ。
というのも、もはや漫画は子供だけのものじゃないからです。
そりゃワンピースみたいにバトル物にすることで副次的な産業が儲かる漫画もあるから、大人が読んでる漫画だったとしてもバトルをすべて否定するわけにはいかない・・・ってのもわかります。
けれど、過去の栄光・・・要するにバトル物を書いてりゃ売れていた時代の考えにいつまでも引っ張られてたら・・・ヤバイんじゃないですかねえ?
時代は流れて行っているのに、漫画の展開だけは同じまま・・・なんてことはありえないと思うのです。
※最近よく見かけるハプニングエロ系も、「こうすりゃ売れる」って感じがしてあんまり好きじゃな・・・す・・・好きだけど!
作者先生は「続けたい」と言っているぜ!?
ただ僕は今回の騒動を見て、「ここで終わったら伝説になる」とも感じました。
みんなが面白い面白いと讃えているうちに終われば、「面白い漫画があった」「面白いのに売れないから打ち切られた」という事実が後世に残りますからね。
逆に、続けていけば続けていっただけ、アンチも増えるだろうし、「あそこで終わっておけば完璧だった」みたいなことを言われるようになるわけですよ。
ワンピースがいまだに「アラバスタで終わってれば」と言われるのと一緒です。ドラゴンボールだったらラディッツが出てくる前。
でも、作者先生は「もう少しこの漫画のキャラクター達を描いていたい」と仰っていました。
伝説になんてならなくとも、自分でコミックスの宣伝をしなければならなくとも、それでも彼らの物語を紡ぎたい・・・というわけです!
これはもう、読者が支えなきゃダメですよね!!
・・・作品も本当にまだ冒頭部分といった感じだし。
※でも、終わらせようと思えば終わらせられそうな感じでもあるんだよなぁ・・・。
この先、続いてしまうことで結果的に「駄作」になってしまったとしても、そこは続けたかった作者と支えた読者に責任がある・・・ってことでw
なんとか頑張ってほしいです!
おわりに
というわけで、漫画「血と灰の女王」の打ち切り騒動に思うことでした。
「そんなに面白いなら買ってやらぁ!」という方は、そのまま書店へGO。
「いやいや、読んでもない漫画買えねーわ」という方はマンガワンで読んでみて!
※追記:後日、無事に続けられた模様!
2023/08/08